小型リニアアンプ MX-P50M

 オランダにKX-2を持って行ってQRVした際に、10Wでの運用は結構厳しいなあ、と感じました。KX-2は良いマシンですが、実使用上はコンディションの関係もあって、できれば25W程度は欲しいなあ、というのが実感です。

 その際は充電器が壊れたこともあって1QSOもできなかったので、瞬発で良いので、と探し回った結果、MX-P50Mを使ってみようと思い立ちました。

 

 オランダでの運用失敗記は以下です。

Jul/15-16/2019 PA/JA0JHQ Netherlands , ON/AH0CO Belgium 0QSO - JA0JHQ/JD1BOW 運用記録 (jimdofree.com)

 

 実は3年ほど前に、TC-200という小型リニアアンプを事情を知らずに購入したら、「LPFが何も入っていない!」という代物で、「7MHZで送信すると、14MHZに同じだけの出力でスプリアスが出る!」という酷い状態で、全く実用性なし、と判断しました。(LPFを作って後段に入れれば幾分かは良いかもしれませんが、アンプのトランジスタ1個に対して0vのバイアスで動かしており、C級動作か、と思われ、あれこれいじるのも元気が出ずに、ほおっておりました)

 で、どうしてMX-P50Mかというと、SOTAで頑張っておられるJP3DGTさんが移動運用の際に実際に使っておられ、HPにいろいろと記事を載せておられるのを目にして、これなら実用できるだろう、と判断しました。

 購入はアマゾンで、25000円ほどでした。1週間で届きました。

 

 ただ、DGTさんによりますと、このまま使うとスプリアス基準をクリアできないとのこと。それで、購入時の初期動作を確認できたら、LPF部を修正する方法で、対策を取ることにしました。

[MX-P50Mの概略仕様]

・80m/40m/30-17m/15-10mの4つのバンドを手動SWで切り替える。

・45W出力(CW/SSB)

・小型で軽量(190mm*100mm*40mm 520g)

・割と真面な放熱板が付いている

初期動作の確認】

 KX-2とダミーロードを使いました。電源は12V15A仕様のパソコン用。それに電流計を付け、KX-2はリチウム電池での駆動です。(個別の電流消費値を知りたかったため)

 およそのデータとしては、

出力は40W程度は出る。(~7A)

・5A以下で動かすと15Wほど。

 (857や891だと8Wほどです)

・6A弱で25Wは出るので、リチウム電池に良いものを使えば、移動運用可!

 (KX-2=1.4Wで15W出力、2Wで24W出力)

LPFの検討】

 内蔵されているLPFは、Π入力型の5素子構成です。このアンプの設計者は中国の方のようで、2016年頃ですかね?

 その当時はこのレベルでも良かったのかもしれませんが、チェビシェフ型とは言っても、この構成では除去力不足と思われます。

 また、30m~17mを一つのフィルタでカバーしようとするのは無理ですね。普通は各バンドごとにフィルタを最適設計して組み込むべきかと。

 

 私の使用条件は、ホテルで運用できない3A(モナコ)などでの運用を想定していて、

・屋外でバッテリーで運用する

・基本はKX-2で運用し、瞬発で25w程度欲しい

・荷物は極力軽く

・アンテナの関係で、40m/20mが出せれば良い

 というものです。

 

 当初は、

1)80mは諦め、80m用のフィルタ部を40m用にして40mの回路と繋いで、素子数

  n=10で構成する。

2)20m用は、30m-15mのフィルタ部と15m-10m用のフィルタ部のエリアで、

  自力でフィルタを設計して組み込む

というつもりだったのですが、リレーなど余り部分は出来るし、プリント基板を切ったり貼ったりしなければならないし、2バンドでは実用性も欠けるか?と考えて、

今割り当てられている4バンドを、40m/30m/20m/17m-15mに変更して、

 フィルタはチェビシェフπ入力型7素子で設計して組み込む、ことにしました。

 

 参考までに、もともと組み込まれている素子は、DGTさんによると以下のようです。

バンド  コイル コンデンサ
トロイダルコア L1 L2  C1 C2 C3
15m-10m T50-6 0.26uH 0.26uH

102pF

51+51

182pF

91+91

102pF

51+51

30m-17m T50-6 0.48uH 0.48uH

182pF

91+91

330pF

200+130

180pF

91+91

40m T50-2 1.25uH 1.25uH

420pF

200+220

820pF

330+470

420pF

200+220

80m T50-2 2.37uH 2.37uH

800pF

330+470

1500pF

680+820

800pF

330+470

 私に届いた装置では、ローパスフィルタ部は、基盤上面はコイルのみ見えていてコンデンサが見えません。コンデンサはチップ部品で、裏面に付けられているようです。

 追加のコイルは、二つのコイルの間に入れる予定です。パターンを一か所切ることになりますが、その程度なら、後で戻すことも可能です。

(12月5日)

  箱を開いて基板を取り外したので、コンデンサの詳細が判明しました。上の表中に青で追加記載しました。コンデンサは積層チップ型2個使いでした。

 

 7素子のフィルタの設計は、以下のHPを使わせていただきました。

チェビシェフ Chebyshev LPF の設計 ClpfCalc (ruru.ne.jp)

バンド  コイル コンデンサ
トロイダルコア L1 L2 L3  C1 C2 C3 C4
17m-15m T50-6 0.43uH 0.46uH 0.43uH 240pF 360pF 360pF 240pF
20m T50-6 0.7uH 0.8uH 0.7uH 230pF 420pF 420pF 230pF
30m T50-6 1uH 1.1uH 1uH 320pF 580pF 580pF 320pF
40m T50-2 1.4uH 1.5uH 1.4uH 470pF 820pF 820pF

470pF

 コイルは巻き方で調整が可能ですが、コンデンサは入手の都合上、以下のシリーズしかありません。(耐圧100V以上のセラミックコンデンサ)

100pF/150pF/220pF/330pF/470pF/560pF/680pF/820pF/1000pF...

 

 そのため、青の部分が適合せず、若干希望値よりは特性がずれますが、以下で組むことにしました。

バンド  コイル コンデンサ
トロイダルコア L1 L2 L3  C1 C2 C3 C4
17m-15m T50-6 0.45uH 0.48uH 0.45uH 220pF 330pF 330pF 220pF
20m T50-6 0.7uH 0.8uH 0.7uH 220pF

330pF

+100pF

330pF

+100pF

220pF
30m T50-6 1uH 1.1uH 1uH 330pF 560pF 560pF 330pF
40m T50-2 1.4uH 1.5uH 1.4uH 470pF 820pF 820pF

470pF

 手元にnanoVNAがあるので、最初に試験回路を作って測定を行い、期待通りの性能が出るか確かめてから、実際のものに組み込む予定です。

・トロイダルコア=秋月電子で購入

・コンデンサ=アマゾンでセット物を購入。1KV耐圧のセラコンです。

組み込まれていたLPFの特性を測る (2022年12月5日)

 写真のようにnanoVNAをフィルタ回路に繋いで、特性を測ってみました。データは表で載せます。(画面コピーが上手くできないので)

 

 下の写真の青いなだらかな富士山型曲線部分が特性曲線の一例です。

(7MHZでの測定例)

バンド -3dBの周波数 2fでの減衰量 3fでの減衰量

10m

38.1MHZ -23.9dB -45dB

(15m)

38.1MHZ -7.3dB -30.3dB
17m 22.2MHZ -27dB -51dB
(30m) 22.2MHZ -0.62dB -21dB
40m 9.4MHZ -26.0dB -46.4dB
80m 5.23MHZ -20.4dB -41.6dB

 

 4バンドの切り替え方式のため、30mと15mが甘くなっています。要注意。

LPFの製作

 一旦設計表の数値で組んでみたのですが、20m用以外は良いデータが出てきませんでした。最初から本体基板に組み込んでしまったのも失敗でしたが、特に40mは上手く行かなくて、写真のような検討キットを作って実測し、数値を求めてから組み込みしました。

 表はuHの単位では訳分からないので、コイルの巻き数を記載した版を載せます。

バンド 

コイル(巻き数)

コンデンサ
トロイダルコア L1 L2 L3  C1 C2 C3 C4
17m-15m T50-6 9 10 9 182pF 330pF 330pF 182pF
20m T50-6 11 12 11 220pF

420pF

420pF

220pF
30m T50-6 13 14 13 330pF 560pF 560pF 330pF
40m T50-2 13 14 13 430pF 820pF 820pF

430pF

 実験装置の段階の方が性能が良く、組み込みすると若干性能が落ちましたが、おおよそ以下の感じでした。

 カット周波数を運用周波数に近づけると、運用周波数での減衰量が大きくなるため、頃合いが難しいです。7MHZは470pFと430PFを取り換えただけでも、減衰量が1.5dB程度変わるため、調整は結構微妙だと感じました。

 下記のように20m用のような性能が出ることもあれば、40m用のように少し落ちる場合もあり、なかなか一筋縄では行きませんでした。

バンド -3dBの周波数 運用周波数での減衰量 2fでの減衰量 3fでの減衰量

15m(21MHZ)

25,2MHZ -1.17dB  -47dB -58dB
17m(18MHZ) 25.2MHZ -0.9dB  -33dB -57.7dB
20m(14MHZ) 18MHZ -0.8dB  -38dB -57dB
30m(10.1MHZ) 12.5MHZ -1.2dB  -26.6dB -62dB
40m(7MHZ) 10.8MHZ -1,2dB  -21.1dB -54dB

QRV Info.  (Local Time)

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