JD1でのFT8モード初運用と感想

 今回JD1で、初めてFT8モードを運用してみました。

 FT8モードの特徴は、

1)送信専用時間と受信専用時間が設定され、それぞれ15秒で入れ替わる。

2)切り替えタイミングは、各分00,15,30,45秒で、ODDとEVENと呼んで区分けている。

3)各バンドで運用周波数が決められていて、副搬送波周波数は200~2,900HZ。

4)USBモードを使用したFSKで、周波数偏移幅は+-50HZ。6.25ボー。

5)一回のタイミングで送れる文字数は13文字

6)通常、トランシーバにコンピュータを繋ぐ構成で運用し、コンピュータソフトによるコーディングで

  結果をコンピュータ画面に表示し、オペレータはその画面で文字を確認する。

7)非常に少ない周波数使用幅(資源)で通信が可能だが、交信に時間が掛かるモード。

8)コンピュータの時刻合わせが厳密で、標準時から0.5秒以内でないと、デコーディングできない。

9)電信に匹敵するくらいの微弱信号解読能力がある。(-24dB?)

等々となっているかと思います。

 コンピュータは、受信時間には帯域に届いているすべての信号を解読して、次のタイミングで画面にそのすべてを素早く表示する必要があり、速度が要求されます。また、RTTYとは違って、送信時間や受信時間を自由に設定できるわけではないので、或る程度定型化された文章でやり取りをしないと、操作が非常に煩わしくなり、短い時間で一交信を完結させるには、定まった一定の手順が必要と思われます。

 

 というようなことから、今回はW1JTさんのグループが開発された「WSJT-X」というソフトを使って運用を試みました。

 このソフトは「オートシーケンス」という機能を持ち、交信は以下のステップで進みます。

(それぞれのステップで、相手局とこちらのコールサインを並べて送信するのが特徴)

1)或る局がCQを出す。この場合、通常はコールサインの終わりにグリッドロケータの4文字を付けます。

  例) 「CQ JD1BOW QL17]

2)応答局は、自分のコールサイン+相手のコールサインに、信号強度を付けて送信。

  例)「JD1BOW T88PB -17」

3)返答します。例)「T88PB JD1BOW R-10」

4)相手から確認信号が送られます。「JD1BOW T88PB RRR」

5)それに対する応答が送られ、例)「T88PB JD1BOW RRR」

6)最後に相互に「コールサイン コールサイン 73」を送って完結です。

 この最後の73の送付時に、オートポップアップでLOG記入画面が表示され、その画面で相互のコールサインとレポート二つを確認して「OK」をクリックすると、ログに記載されます。

 

 その辺は一応理解してから交信を始めたのですが、最初は以下の点で失敗をしました。

1)コンピュータのオーディオ出力が高すぎて、第二高調波が発生

2)送信周波数と受信周波数の違いの意味が分からず、コンピュータお任せで遣っていた。

3)一旦返答があって「R-何々」まで進んでも、そこからなかなか先に進まないケースがあり、その場合に

  どう対処したら良いのか分からなかった。(いつ、見切りを付ければ良いのか見当がつかなかった)

4)さらに進んで、「RRR」まで進んでからもその先に進まず、LOG記載ポップウインドウが出て来ない

  ケースがあった。

5)見切りを付けた後、別の局と交信開始したら、その後返答があった! どうしよう・・・。

6)一旦、ログをOKしたあとの確認の仕方が不明で、本当にログ記載されているかが分からない。

7)その後、ログのADIFファイルを見つけたので、試しにCTESTWINで読み込んだら、読み込めた

  けれど、すべてCWになっていた。

 

 で、その後、多くの方からアドバイスをいただいて、以下の方法で対処することとし、最終日は比較的上手く運用ができるようになりました。

1)オーディオ出力を下げ、送信周波数を1500HZよりちょっと上で固定として運用。

  (ウォーターフォールで見て、空いている場所を探します)

2)JD1ペディだったので、今回は送信周波数固定で運用しました。

3)4回まで待つことにしました(ウォッチドックが働く)。というのは、3回までは応答が先に進むケース

  が多く、4回だとそこで止まってしまうケースが多かったため。

4)これはもう仕方がなく、交信諦めです。が、自分でログポップをして、相互のレポートが入っている

  場合はコメントを書いて「OK」クリックする、としました。

  (CWなどでは、レポート交換が終了すると、その後のRやTU無しでも、交信成立としているため)

5)当該QSO終了時点で、前の交信の欄をダブルクリックして、再試行を試みます。相手が残っていて

  くれれば、先に進んでQSOできる場合があります。

6、7)CTESTWINを最新の4.21版にしたら、FT8と出ましたので、最終のログ管理はCTESTWINで

  行うことができました。

 なお、「FILE」のところから入って、SHIFT+F6で、その回のQRVでの受信信号をすべて表示する機能がありました。もしレポート抜けをしていたら、これで事後の確認が、或る程度は可能です。

(凄いソフトですね!)

 

感想]

 最初は戸惑いながら運用していたのですが、理屈と要領が分かってきたら、かなり楽しく感じるようになりました。文字化けが多いうえに、周波数の微調整を伴うRTTYは、凄く神経を使って大変ですが、それより遥かに運用が楽で、素晴らしいソフトだなあ! と思いました。

 CWでもSSBでもRTTYでも、コールサインの受け取りミスは意外と多いのではないかと思います。特にローバンドでは、CWでも短点落ちで聞こえてくることは良くあることですし、SSBでも、人によって発音が理解できず、難儀することも多い。その点、FT8はコールサインの取得ミスがないのが、非常に優れた点かと思いました。

 ただ、通信には時間が掛かります。最短でも75秒は掛かり、今回は平均一交信2~3分という感じでした。ペディ局相手だと、長い時間待つことが多くなって(呼ぶ局が多いので)、ストレスが溜まります。この辺がもう少し早く交信できるようになると、楽しい運用が可能かと思いました。

 

 あと、クラスタでは160mでも運用している局を見受けましたが、DX局を相手とするような場合は、どうなんでしょうね? 私の経験では、例えばブータン⇔ヨーロッパの交信では、

1)チャンネルが繋がるのは「ブータンが朝で、日の出に近い時間の或る僅か10分間」が

  交信対象時間です。(コンディションによっては、もう少し長い場合もある)

2)しかも、一つの局の信号が聞こえるのは「相手の局のコールサイン+レポート」がぎりぎり。

 こういう場合、とても75秒も掛かるような方式では、交信は無理なのでは? と思ってしまいます。ちなみに、CWのケースでも、レポートも実際通りに近い337などと打っている時間はありませんで、相手の受信時の判別も難しいのではないかと考え、599の次に短い559か539を打つことにしています。160mはそれほど厳しいバンドです。むろん、二回目の打ち直しなどしているうちに、あっという間にフェードアウトしてしまいます。何しろ、グレーライン通過が、一国10分しかないような条件ですので。

 結局のところ、電波のコンディションが大きく物を言うのは、いずれの電波形式でも同じかとは思いますが・・・。

 

 今回のJD1での運用では20mのみ運用しましたが、フェードアウトしてから40mに切り替えたら、非常にたくさんの信号が入っておりました。(アンテナは20m用しか上がっていなかったので、受信のみです)

 これからこのモードは、暫く人気が続くだろうなあ! と感じました。

 総じて、最後は非常に面白く感じました。次回の運用から、必ず取り入れて行こうと思っております。

 

(追記)

 一方で、このモードで人間の遣れるのは、「相手選択」のみのような気もしました。

コンピュータの中に高度なAIが居て何でもやってくれる感じで、コールサインの読み間違いもないし、信号強度も体感のないままに幾つだと決めてくれたりもする。あまりにも機械的な面があります。弱い信号に聞き耳を立て、人間能力全開で交信しようとするCWやSSBのような「人間っぽい行為」からは離れてしまっていて、オペレータの能力や努力に依存しない「21世紀型AI通信」とでも言いますか、そういう面も持ち合わせている気がしますね。

今回も、他のことを遣りながら画面を見ているだけで交信成立して行く場面も多く、これが果たしてハムの楽しみなんかなあ? とも思ったりしましたが、まあ、こういうモードもある、ってことで、暫く遣ってみたいと思っています。 

(追記2)

 V73での運用後の追記です。

 CWやSSBでは、レポート交換ができれば交信成立のはずです。一方、FT8はRRRの後で73も送って成立。これでは、念を入れすぎではないですかね? 時間も物凄く掛かってしまい、実用的ではないように思います。

 片側がレポート(-07)を送り、相手が(R-06)を送って、相手方に受けられていれば、これで交信成立のはずと思うのですが、いかがでしょうか? その辺、どこかで解釈を決めてほしいのですがねえ・・・。

(その後のRRRやRR73が受け取れなくても、交信は成立しているはずです)

 

I think , if the FT8 process is proceeded to "R-something" and received it by the receiver  with no RRR , that QSO would be completed .  

MSHV運用に抵抗感がある訳

 MSHVでは、コンピュータが自動で相手を選択してQSOを進めます。(個別選択もできると思いますが、速度的に間に合わなくなって、結局自動選択に任せることになるかと思います)

 どこかでエラーが出ない限り動き続ける自動マシンで、呼ぶ側は人間なのですが、応答側はコンピュータによる自動送信という、或る意味、時代を反映したAIとの対話、みたいな交信形態かと思います。

 

 FT8は辛いモードで、相手のコールサインが目の前に見え、しかも画像に残る

 沢山呼ばれている状態では、多くの局に待ってもらうことになります。画面に赤い火柱が何本も立って、「ずっと待ってもらっている」という状態を見ることになり、これが辛い。中には待ってもらうのが10分、15分というときも。

 

 そういう最中に、3回4回と呼んでも応答の無い局もあり(+15というようなレポートで起こるので、理由が分からない)、そういう時は、「ほかの人に迷惑を掛けている」と感じ、イライラしてしまいます。

 

 こういう時は「自動選局に任せる」方が気が楽。・・・そう感じてしまうんですね。

 

 でも、交信相手は実は町に遊びに行っていて、その間にコンピュータが奮闘しているのが実態のようなペディを相手に呼ぶのは、楽しいことなんだろうか?

 

 そう思うと、こうした運用形式には抵抗感が生まれます。

 

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