2014年関東UHFコンテストに山岳移動参加を目論み、軽量でそこそこの容量が期待できる、と噂のリチウムフェライトバッテリーを購入して使ってみました。
※LFX18A1-BS12(SHORAI製) 約1.1kg
実はこのバッテリーはお値段が一個2万円もするので、買う前に凄く悩みました。けれども、リチウムイオンやポリマーよりは安全で、使用しなくなった時の処理についても、しっかりとしたメーカーなら何とかしてくれるかな? と、期待しての購入です。思い切って投資して、2個、買いました。特約店さんで専用充電器でフル充電してもらった後、山に運んで行って運用開始です。
【運用状況】
私のリグは、YAESUのFT-857DM、今回の430MHZの運用では、受信時に約0.68Aの消費、5wの送信では4.2A程度消費します。通常、バッテリーは、カタログに総容量が表示され、10時間率で27AHとか、5時間率で24AHとかが示されていますが、このバッテリーはデータが少なく、日本代理店のHP表示では、18AH/Hrと、ちょっと意味が分かり辛い表示になっていました。重量からの計算上、18AHは無かろうとは思いましたが、リチウム系は昨今、kg辺りで220whとかの容量があったりするので、少なくとも12AH辺りは出るだろう、と、皮算用していました。
運用スタート時の電圧は12.9v。ほとんどフル充電の鉛と同じ電圧です。元々の用途が、バイク用のようなので、まあ、納得できる数字です。9時から1.5時間ほどはS&Pだったので、平均的には2Aも使っていなかったと思いますが、減りが早い。そのうちに12vもすれすれの電圧になりました。11時近くにチャンネル確保でき、その辺りから時々10Wでの電力に切り替え運用しましたが、11時40分頃から遂に9.5Vにまで落ち込み、予定の3時間はクリアしないまま、一旦QRTしました。(残念なことに、スタート時に準備時間がなく、2個をパラに接続していませんでした=大失敗)
トイレ休憩、食事休憩の際に、もう一個に切り替え、残りを運用しました。
【放電試験】
ものの本ではリチウムフェライトバッテリーは、単セルでの運用電圧は3.2~3.3v、充電時は3.6vでストップ、放電時は2.0Vを下ると機能しなくなる、そうです。このバッテリーは単セル4直の構成と思われます。それで十分注意して、0.4A以下の電流で14.4Vまで充電後、放電試験を開始しました。6.67オームと3.33オームの二種類の負荷で計測し、グラフに取りました。その結果、以下のような容量値になりました。
①6.67オームの時 (18AHを信用すると、約0.1Cでの放電=1.8A程度で流しっぱなし)
総容量は66wh程度。(約170分使用可能でした)
②3.33オームの時 (約0.2Cでの放電です=3.6A程度で流しっぱなし)
総容量は62wh程度(約85分使用可能でした)
【結論】
メーカーの言う18AHは、総容量ではなく、鉛に換算して、その程度の力が出る、ということのようです。12.8Vを運用電圧と考えると、約5AH程度の実力ではないかと思われます。
ちなみに、AZのリチウムフェライトは2万円程度のもので、48wHとあり、こちらの表示は親切です。こちらのバッテリーについては、JH0CJHさんが使用記を書かれております。
また、その記事によれば、FT-817での運用で3.5時間、ずっとCQを出すような運用でも大丈夫なようで、それから見るとAZは48wHよりも多く出るような印象です。
なお、CJHさんの使っておられるFT817は優秀なマシンで、受信状態での消費電流も857の6割程度、送信状態でも857よりも大分少ない消費のようです。移動運用には817が勝ると思います。今度、CJHさんにお会いして、今回のバッテリーを使ってみてもらうのも良いかな? と、思いました。
【余談】
鈴鹿等でのソーラーカーの競技会では、搭載できるバッテリーは3kwh程度です。リチウムだと15kg程度に相当し、1kgならば150wh程度。今回の数字とだいぶ差があります。
ルールでリチウム系バッテリーは(イオンもポリマーも)17kgまで積めますが、このくらいの電力容量が無いと、ソーラーカー競技では勝負になりません。
今回、運用した後の充電をしていて、たまたまバッテリーを逆さまにしたら、そこに小さなプレートでメーカーの仕様が書かれていました。それによると、「13.2V 6AH」で79.2Wだそうです。できれば、メーカーHPに載せておいてくださるとありがたいですね・・・。
今回の実験で、4時間率以上の放電だとリチウムフェライトと言えどもフル容量が出てくるのではないことは分りましたが、10時間率で79w⇒3時間率66w位だと、注意して使わないと途中でおしまい、ってことになりかねないですね。
ともあれ、実験結果もメーカー仕様からはずれているわけではなく、多少、安心しました。